近頃、寒さで夜中に眼が覚めることがしばしばある。

 開け放しにしている窓からは秋の始まりを感じさせる冷たい風が吹き込み、作務衣一枚で眠る私の身体を容赦無く冷していくからだ。

 昼間はいまだに夏の名残とも言える蒸し暑い日々が続いているが、夜は涼しい日と暑い日が曖昧で、季節の境目の時期なのだということを実感させられる。

 例年に比べると随分と早い秋の到来であり、珍しく雨の多い夏でもあった。

 さて、前置きの季節話はこれくらいにして。

 今日の帰り、正確に言うと前から時折考えることはあったのだが、最近土の道路というものをめっきり見なくなったように感じる時がある。

 私がまだ小学生だった時分、家の前の道路は土の道路だったのだが、私が中学生に上がる頃にコンクリートで舗装されてしまった。

 私が住んでいるのはどちらかというと田舎に区分される地域なので、少し足を伸ばせばまだ土の道路を見つけることができるのだが、都会などでは滅多にそんな機会は無く、それこそ絶滅寸前といえるのではなかろうか。

 土の道路に比べればコンクリートの道路は揺れもジグザグ道も少なく安全であるのは事実だし、車の密集する都会ではそういった安全性と利便性が求められていることも十分理解しているつもりだ。

 しかし、それこそ景観のため、あるいは工事現場、そんな自然とは掛け離れた都会の申し訳程度の土の在り様は、極論ではあるが、実用性を重視するが故に自然の在り様を否定していると考えることもできる。

 私は土の地面が素晴らしいと言っているのではない。

 土について論じたのは、今我々の立っている地盤、つまりは地面に対してたまには考えてみるのもいいのではないかと思ったからである。

 さて、よく分からない話題はこれくらいにして身近な話でも。

 今あなたは500mlのドリンクを買いに行くと想像してください。

 そのとき、ジュースが150円で売っている店と100円で売っている店、どちらで購入するかと尋ねて、前者を選ぶ人は少ないだろう。

 では、徒歩10分の距離にあるス―パーに売っている100円のジュースと、家から徒歩30秒で着く自販機で売っている150円の同じジュースだとしたらどうだろうか。

 往復19分の差、そこに50円の価値を見出せるかどうか。

 ちなみに私は前者、あまり足労を厭うタイプの人間ではありませんから。

 皆さんはどうでしょうか。

 これが10分ではなく20分、30分だとしたら?

 今日の帰り道に、そんなことを考えていた。